─────これは、星降る街の物語・・・
「...むざむざ死にに行く必要は無い...か。......いいか嬢ちゃん、俺はもう、〝死人〟...そう、リビングデッド、なのさ。自分がまだ生きていると思うから、死にたくないと思う。その不純物が、引き金を引くこの指を、そして全てを鈍らせる。そんな奴はここじゃ1日と経たずに蜂の巣さ。......あんたらとは死生観が違う。───少なくともこっちでは、当たり前の心構えだぜ、嬢ちゃん。」
【名前】Chrono・Yuri(クロノ・ユーリ)
【種族】人間
【性別】男
【年齢】35
【身分】登録市民
【職業/所属】フリーランスの便利屋/ノワール・ソレイユ幹部/SSS
【容姿】ぼさぼさ、と逆だった黒髪のショートヘアーで、光の加減によって暗い緑に見える事もある。飄々とした好人物、という印象を与える顔付きで、咥えタバコばかりの口元にはニヒルな笑みがよく浮かんでいる。トレードマークのサングラスの下には、少し目付き悪めの黒い瞳が覗き、右目は赤い義眼が埋め込まれており、眼帯を付けている。
身長は190cmと高く、体付きも割かし大柄なもの。無駄無く筋肉がついた体型。
服は黒いインナーに、赤いジャケットを肘まで捲っている。両手には同じくカーキ色の手袋。
ズボンも赤い長ズボンに、カーキ色のブーツ、と見事に赤が強い。
【性格・補足】〝重腕〟《ヘビーアームズ》の異名で呼ばれ、時折見せるニヒルな笑みと、クサい台詞回しが特徴の男。普段は飄々とした好人物、といった男だが、折り紙付きの悪党と歴戦の犯罪者が集う〝ノワール・ソレイユ〟。その幹部らしい冷徹な内面も合わせ持つ。
10年以上前の話だが、かつてはBランクハンターだったようだ。しかしノワール・ソレイユ支部の襲撃任務の際に、共に行動していたAランクハンター、以下数十名を皆殺しにし、表の世界より姿を消した。
それ以降はフリーランスの便利屋として武器や違法パーツ、薬物の運び屋から殺人まで数々の犯罪(しごと)をこなし、若くしてノワール・ソレイユの幹部にまで上り詰めた。銃撃、及び白兵戦も得意とする分野だが、現在では多くの部下を持った事から、管理職としての立場も強く、以前の様に自ら出向いて依頼をこなす、ということは少なくなったようで、「若い頃と比べて訛っちまったよ。」と零すことも。
また、ノワール・ソレイユ、王都ステラ支部の管理にも一枚噛んでおり、密かに薬物などの流通を行う為、ステラに顔を出す事もしばしばあるようだ。
便利屋としての個人的な事務所は、セントラルストリートの裏路地を行った先にある、寂れたアパート。一階部分は愛車である、防弾仕様の大型軍用ジープを改造したものを収納するガレージとなっており、二階部分が事務所兼自宅となっている。
ハンター資格を抹消された後、元々は非登録市民として生活していたが、2年前にSSSに入隊した後、新たな登録市民の利権を受け取っている。ノワール・ソレイユ内でいち早くSSSへの入隊意志を示した幹部の一人であり、少なくない罵倒を受けているものの、本人は何処吹く風で逆に犯罪者の肩書きのまま過ごす幹部を、「ギャング映画に憧れる大間抜け」と小馬鹿にしている。
この事から、悪や正義、といった概念に拘らず、ただ〝結果〟と〝力〟のみを信奉する、徹底した実力主義者である事が見て取れる。
その為か、口先だけで夢物語を語る相手や、意味も無く殺人、暴行を加える相手は好まない傾向にある。
勿論、そんな彼の手腕、切れる頭、そして何より本人の〝腕前〟に一目置く人も多く存在し、ユーリ、と呼び捨てに呼ばれる他、「ユリさん」、「ユーリの旦那」などと呼ばれる事も少なくない。基本的に彼が名乗らない為、「クロノ」と名前で呼ぶ人物は指で数える程。
何でも卒無くこなす器用な人物でもあるが、家事などの〝日常〟に関しては全く手がつけられず、料理に関しては殆どをインスタントで済ませる。
酒好きだが、情緒不安定になってしまい、何をしでかすか自分でも分からない為、控えている。
愛煙家でもあり、吸っているのはラッキー・ストライク。
自分より若く、こちら側の人間では無い人の事は、嬢ちゃん、坊ちゃん、ガキ。と呼ぶ。
その他、基本はお前やあんたを使用する。
が、自分が認めた人の事は、どれだけ幼い、弱い人でも呼び捨てで呼んだり、あだ名を付けて呼ぶ。
【過去詳細】
父はS・E・D社員、母は専業主婦、の一般家庭に生まれ、極普通の少年時代を過ごしたが、ある日テレビで見たハンターの生き方に、犯罪者やノインといった、悪と戦う〝正義〟という輝きに憧れ、自分も彼等の様な正義の味方になりたい、と一丁の拳銃を手に家を飛び出し、16歳からハンターを始める。
順調にランクを上げていき、Bランクまで登り詰めたが、20歳頃にノワール・ソレイユの薬物取引現場の監視任務についた際、共に行動していたハンターに自分の情報を売られ、ノワール・ソレイユに捕まってしまう。その際に拷問を受け、右腕、右目を失い、汚染区域に捨てられたものの、運良く彼は〝適合者〟だったようで、生還する事が出来た。
しかし、正義を信じた故に正義に裏切られた彼は、既に今まで通りの性格では無く次第に〝力〟のみを信じるようになっていく。その後、右腕と右目にリマイズ手術を施し、数十名規模のハンター達の合同で、1年後に決行されたノワール・ソレイユ北東区支部の襲撃に於いて、ノワール・ソレイユに任務の情報を横流しし、共に行動していた、最高Aランクハンターからなるチーム全員を銃で皆殺しにした。
それにより、ノワール・ソレイユに太いパイプを持った彼は、密かに便利屋を立ち上げ、自分の利益になる依頼なら何でもこなし、数々の鉄火場を潜り抜け、〝何でも屋のユーリ〟、〝重腕〟《ヘビーアームズ》、などと呼ばれる様になった。
自分の邪魔をする者には容赦無く引き金を引くような男だったようで、今よりも数段血の気が多かったようだ。
そしてついに30歳になる頃には若くしてノワール・ソレイユの幹部にまで登り詰め、今に至る。
【リマイズ箇所】
右腕・・・かつて右腕を切り落とされた後にリマイズした義腕。特殊な武装は施されていないものの、金属を握り潰す程の人知を超えた怪力を発揮出来る。特に見た目的には変哲のない様に作られてはいるが、限界を超えて使い続けると機械が露出してしまうことも。
右目・・・かつて右目を刺し貫かれた後にリマイズ化した。元と同じ視力になる様に作られた為、本来眼帯を付ける必要は無いのだが、〝正義なんて馬鹿げたモノを打ち捨てた証〟として普段は眼帯を付けている。色は赤色。彼が眼帯を外す時は本気の本気で戦う事を意味する。
【武装】
〝ベレッタM5W〟(Beretta Model 5th War)
かつてベレッタ社が開発した50口径の大型自動拳銃。銃身は6インチ、装弾数は15発。第五次世界大戦にて〝帝国同盟圈〟の正式採用拳銃として使われた。旧暦時代に開発された最後の実弾式拳銃であり、反動も口径に対して少なく、敵国をして〝名銃〟と言わしめた逸品。安定した性能と威力から、現在でもコピー品が多く出回っており、彼も腰裏に二丁携帯している。
普段はこの銃を両手に持って戦闘する事が多い。
〝対ドールEMP手榴弾〟
一部で出回っている特殊な爆弾で、物理的な衝撃は発生しないものの、爆発地点と隣接したドールの行動を、1分程だが阻害出来る。通常のEMP攻撃ではドールの行動に一切影響が無く、この特殊な爆弾によってのみ、阻害することが可能。それでも、動きが遅くなる程度、だが。更に、1つが数百万相当の値段がする他、2つ以上を半径10m以内に近付けると暴発してしまう為、普段は1つしか携帯できない。彼も出来れば使いたくないようだ。
〝カノンブレード〟。
1年前、彼の部下がステラの極秘調査に出向いた際、イーストエンド山脈の崖下に半分埋まっていたものをサルベージした武器。
当初は錆びて風化が進んでいたが、ノアの技術力を用いて改造・再生した。名称は回収当初から刀身に彫られていたらしい。
片刃ではあるものの、所謂〝バスタードソード〟が元に作られており、片手剣にしては長く、刀身も肉厚で、重量もかなりのもの。その為、両手でも扱えるように柄は長く作られている。
普通の人間であれば両手で振るうのが精一杯である所だが、この武器にはもう1つ、特殊な機構が搭載されている。それは〝砲撃機構〟だ。
〝砲〟と形容される通り、口径は非常に大きい。片刃である刀身の刃が付いていない側に、黒く大きな砲身が付属している。柄に付属した引き金を引く事で砲弾が発射される。
弾の種類は3種類あり、着弾地点で大きな爆発を起こす〝榴弾〟と、威力と射程が弱まったものの、広範囲に被害を与える〝散弾〟、爆発耐性があったりした場合や、被害をあまり与えたくない時に使う、金属製の太い針の様なものを射出する〝貫通弾〟が存在する。
どれもが近くに落ちていた幾つもの弾丸を解析して再現したもの。
装填数は合計5発で、薬莢の排出も撃つ度に砲身側面部から自動で行われる。装填時は側面のレバーを引く事で、砲身上部がスライド方式で開くため、其処から一発一発手込め方式。
尚、砲撃の際の反動はありえない程に強く、彼のリマイズ化された右腕を以て漸く扱える、という代物で、普通の人間が砲撃すれば、まず間違いなく骨折は免れないだろう。
更に、カノンブレードが埋まっていた近くにはもう1つ、バラバラだが左手用のカノンブレードが落ちており、かつて使っていた人物は二刀流で使っていた事が推測される。
彼曰く、「コイツを使っていた奴は正真正銘の化け物だ。」
その他、手榴弾を数個持ち合わせている事が多く、サブマシンガンなども所持してはいるが、基本的に持ち歩いては居ない。他の武器は大抵彼の愛車である防弾仕様ジープの後部座席に放ってある。またジープには自動照準機構が付属した、ブローニングM3047重機関銃が車上に搭載されている。
【SV】
「よう。こんな所でどうしたんだ?......ここは日向者の来るところじゃあないぜ。腐った臭いしかしない、ゴミとクソの吹き溜まりみたいな所さ。あんたみたいな綺麗な人が長居をすると、肺をやられちまうぞ。......運が悪けりゃ、口を通さず呼吸が出来る便利な穴をこさえる事になる。......さあ、行った行った。」
「カーディナルのお嬢様、か。ありゃあ逆立ちしても勝てねえよ。んなもん考えればガキでも分かる事さ。俺達が銃なら、奴は核爆弾。生半可に抵抗すれば粉微塵に吹き飛ばされるのが落ちだ。......だがな、奴は〝上手い〟、ちゃんとメリットも用意してくる。それこそ悔しい位にな。...だから俺は、奴の言葉には出来る限り従うのさ。」
「...へえ。こりゃ本物か?......人間に猫の耳たあ...こりゃあますますお伽噺だな、神様の一人くらい居ても可笑しく無くなってきた。...もしも神か天使が居たら伝えておいてくれ。───信心込めた鉛玉をぶち込んでやるから、いつもの様に玉座で胡座かいてろ、ってな。」
「...結構なこった。そりゃあジャンヌ・ダルクも盛大な拍手を送るだろうよ、ヘブンズ・トレインのファースト・クラスにも顔パスで座れるさ。...だがな、俺から言わせればそんなもの、どでかいクソの塊だ。この世で信じられるもの、それはただ一つ。...有無を言わせぬ〝力〟だ。幾らお前が正しい道を示した所で、最後にそこを歩かせるよう強要するのは、お前自身の力だろ。───何度世界が滅んでも変わらない、たった唯一、不変の真理さ。」
「折角だ。昔話だが、とっておきのクソ話があるぜ。......10年以上前の事だが、正義を追い求めて、大した力も覚悟も無しにハンターを続けるクソガキがいた。だが、そいつは自分の信じる正しさの果てに、同じように信じた仲間に裏切られ、右手と右目。...そして信じていた全てを失った。......憐れにもこの世の真理に気付くのが遅すぎた、大間抜けの話さ。......お前の行く道の先に、せめて少しでも救いがある事を、クソッタレの神様一同に願っとくよ。」
「...最後の忠告だ。ここを越えれば、お前は嬢ちゃんを卒業だ。だが、お前はこれまでの様に〝灰色〟じゃあ居られなくなる。...真っ黒だ。俺達と同じ、ゴミ溜めの虫に成り下がる。俺の足跡を辿って、裾を汚さずに歩く事も出来なくなる。間違いなく、お前はこのクソの海に腰まで浸かって歩く事になる。......分水嶺だぜ、覚悟があるのなら、手を取りな。───オーライ〝相棒〟、魅せてやろうぜ、ド底辺の悪足掻きって奴をさ。」