UDX-0B-Fluegel

フリューゲル

【 名前 】Fluegel - フリューゲル - 
     型番:UDX-0B-Fluegel
【 種族 】ドール/UDXシリーズ
【 性別 】ナシ
【 年齢 】製造年は20年以上前
【 身分 】非登録民/
【 職業 】ノワール・ソレイユ所属
【 容姿 】きらり、と輝く月のような金色の髪。ドールの髪とは思えぬ程美しいソレは見るものを圧倒する。乱雑に揃えられた前髪には、ぴょん、と跳ねた髪が一本、垂れるように生えている。そして、元は長髪だったのか、一房のみ腰辺り迄長い髪があり、其れを三つ編みにしている。それなりに美しい顔立ちであり、「これでも弄ったのだぞ?」と言っている辺り、昔はもっと美人であった可能性はある。髪と同様金色の睫毛に、蒼の瞳。データが変わる毎に瞳の色が変わる。細く設計された手脚に胴体。耳に黒の折り鶴の飾りがついたピアスを付けている。清潔な白いYシャツは、背の部分のみズボンの中に入れずに出しっぱにしている。黒のメンズのスカンツを履いている。靴は気分で変わる。最近はサンダル。
【 性格 】思考が読めず、言動の意味も不明というかなり面倒なドール。そして何の因果か、バグのためFluegelには4つの性格データが存在する。此処では其の4つのFluegelを紹介しよう。
オリジナル:4つの中で極めて自然体で、人懐こい。しかし、一番ワガママで一番行動が読めない不思議ちゃん。一人称は「ワタシ」。瞳の色は蒼。好奇心旺盛で気になったものがあればとことん追求し、データとして残すのが趣味。そんなオリジナルのお陰で、Fluegelの知能はそこらのドールよりも極めて高く理知的。現在気に入っているのは『人間』なのだとか。人に対しての執着と探究心は止まる所を知らず、1つ気になる事が出来ると其れを確かめる為に突っ走る。其の為のスキンシップは異常であり、いきなり舐める、身体に手を回すなど序の口のようだ。一回一回の会話量が多いのはご愛嬌。例え自分よりも遥かに立場が上の相手に対しても、あだ名、呼び捨ては当たり前であり、敬語で喋ることなど全くない。つまり命知らず。案外尽くす事が好きで、家事はどんとこい。お喋り相手だってしてあげよう。あ、でも虫の退治だけはよしてくれ。あの奇妙な物体の相手は例えコアを壊されようともしたくはないぞ。むかーしむかし、最愛のマスターが居たと言っているが、事実かどうかは不明。喜怒哀楽が一番しっかりしているが、笑顔を作る、と言うプログラムしか存在しない為怒っても、悲しんでも、ずっと笑顔だ。其れを本人は嫌っている。
データファイル『憤怒』:喜怒哀楽の中で、怒りを異常な程敏感に感じる人格。屑。取り敢えず性格が捻り曲がってる。一人称は「オレ」。瞳の色は紅。非常に好戦的で一度奴の目に入った者には必ず死が待ち受けている。些細な事で怒り沸騰する為扱い辛い。しかし、説明をすれば落ち着く為、なんだかんだで人の言う事をちゃんと聞く唯一のデータ。何気に苦労人。自身の容姿が何より好きで、容姿を貶されると誰であろうと跡形もなくなる程殴り続ける。希死念慮があり、このデータが起こす殺戮はいつも自分の身を顧みないものであり、大昔にはコアの2割を壊された事も。元のバグはこの憤怒だけだったそうだが、先述のコアの件から残り2つのデータが発生したと考えられる。つまり此奴が諸悪の根源。オリジナルと同様、人に対しての執着心は異常であるが、オリジナルと違い「弱いくせに無様な姿となっても立ち上がる様が見れるのは人間だけだから。」という如何にも屑な思考の末の結論のためである。オリジナルの怒りが限界を達すると現れる為『憤怒』と命名。
データファイル『楽観者』:とても明るく、前向きで幼い少年の様。常に前向きであり、時折天然な部分を見せる癒し担当。一人称は「ボク」。瞳の色は檸檬色。子どもらしい遊びが大好き。痛そうな景色と命令が嫌いであり、例え上司の命令とて聞き入れない頑固な部分がある。其れに対する様に単純な為簡単にものでつれる、間抜けな面も垣間見せる。オリジナルと同様、好奇心だけは十分にあり、これもオリジナル同様、人間に対しての異常な執着を見せる。しかし、このデータの人間への執着は他のものとは比にならないくらいである。人体の解剖は好きか、だって?何馬鹿げた事を言っているのさ、解剖以上に素晴らしく、輝かしいものはないだろう!?
データファイル『慈愛』:慈悲深く、Fluegl全体の慈愛を補っているデータ。言葉遣いが丁寧で一人称は「ワタクシ」。瞳の色は桃。このデータの中で唯一と言って良いほど慈愛に満ち溢れている。差別せず、暴力を振るわず、話し合いで解決する。其れをモットーにしている。植物が好きであり、花を見かけたりすると直ぐにそばに寄って愛でる。子どもの世話?どんと来い。1番出現率が低く、このデータが現れるのは極稀。しかし、このデータもまた歪んでいる。もし間違ってこのデータで人を殺めてみろ。コレは「残された人が可哀想。」と言うただの要りもしない同情心で、其の場に居る人間全てを皆殺しにする。1番気をつけるべきデータはコイツだ。
【 補足 】ノワール・ソレイユに所属しているのは、なんとなく、と言う理由のみ。悪も正義もどうでも良いのだ。ドールであり乍、人と同じように時が過ぎれば過去の事を忘れてしまうように、ドールで言うところのデータが次第に、時間をかけて忘れていく。特別であり、高度な技術であり、地獄でもある。ドールであり乍、プログラムされていない感情をも感じる、高性能のAIである。喜怒哀楽から派生する全ての感情を、人並みに解っていた。解っていたのに、ある日を境に、喜怒哀楽以外の感情が理解できなくなった。感圧センサーで感じていた温もりも、冷たさも、触感も、すべて。すべて忘れてしまった。以後、Fluegelは探している。人になれる方法を。人により近い存在に戻ること。
【 武装 】主に拳銃を使う。其の腕は優れており、まだ拳銃を握って数年の初心者だが、其処らの雑魚よりは格段に上である。又、現地調達の武器でも我が物のように扱える。しかしFluegelの1番得意はステゴロであり、拳である。其の為少し触れただけで肌が切れる、切れ味の良い棘がついたメリケンサックを愛用している。Fluegelの腕力は戦闘用ドールの中の、拳を使うものと比べれば同等、またはそれ以上の実力を持つ。格闘技術は何十年も前から磨いており脚技も大変得意。素手の勝負でFluegelに勝てるものは中々居ないだろう。
【 s.v 】 
「ワタシ?嗚呼、ワタシの事が知りたいのだね。しかしワタシもワタシの全てを把握しているわけではない。ワタシは何しろ、他の機械的なドールと違い感受性が豊かで、健忘があり、こう見えて感情豊かなドールちゃんだ。なので、殆ど人と変わらないと言っても過言ではない。そしてワタシは、オレにもなれるし、ボクにもなれる。或いはわたくしにだってなれる。つまる所、ワタシにはワタシがないのだ。良いかね少年。ワタシの事を知りたいのならとうの昔に骨と化した製造者に聞いてみてくれ。……何?名前を知りたかっただけ?ならば最初からそう言え、馬鹿者。ワタシの名はFluegelだ。しっかりと記憶に刻めよ、少年。」
「ワタシは不安定な奴だ。どれだけ自分を取り繕うとしても、プログラム出来ない。バグが起きるんだ、頭…ドールならばコアかもしれんが、兎角常に雷が脳内に落ちているようなバグだ。其れは記憶を消し、消したくないものまで消してしまう厄介ものだ。其の為ワタシに此度の襲撃作戦に参加を強要させないでほしい。作戦を伝えられても、忘れてしまうのでな。役に立てない。意訳すると、面倒くさいので遠慮します、だな。」
「おいおいおい。お前はオレを見てなんと言った?醜い?ハッ、お前は今すぐに眼鏡を買うかリマイズ手術を受けて細部までしっかりと世界を見えるようにしてもらえ。オレのこの美しさ、どこをどう見ても完璧だろう!?これでも弄った方なんだぞ?本当に、お前の顔についてる目は飾りか?只色彩を写す鏡か?あ゛〜、もういい。キリがねェから殺してやる。」
「ボクは争いは嫌いなんです。どうしてもやりたいなら向こうでどうぞ。…嫌なんですよ、痛いの見るの。ねぇ、そんな事よりもっとたのしいことしましょうよ。トランプとか、鬼ごっことか、あ、人の部位について詳しく調べるのも楽しそうですね!…え?今ボクがあなたについていけば好きなだけ調べられる…?本当に…?行きます!行きます!さぁ、ボクを早く其処へ連れて行ってください!」
「月が綺麗ですね、ワタクシ、こんなにも美しい月を見たのは初めてです。あなた方もそう思いませんか?って、あら。何故です?そんなにも殺気だって。…あなた方の盟友を、ワタクシが壊してしまったから?あら、いけない!本当だわ、ごめんなさいね。この方ワタクシの忠告1つ聞かないで飛びかかってきてしまったから、つい壊して仕舞いましたわ。あらあらまぁまぁ、どうしましょう。これではワタクシが壊してしまった方が1人ぼっちで可哀想ですわ…、よし、此処はあなた方も壊して、みーんな一緒に仲良く地獄へ落としてあげましょうか!」
「ふむ、君は舐めると面白い反応をするな。唐突な事だった故、驚くのは想定の範囲内として、何故頬を赤く染める?しつこく舐めまわしたのが悪かったか?だが、ワタシには唾液も、吐息も、暖もないぞ。…何?冷たい。擽ったい。…ほぉ、これは冷たいと言うのか、其れに加え耳を舐められるのは擽ったい。…ふふ、ありがとう。また1つ、新しいことを知れたよ。」
「ワタシの最初で最後のマスターだった。もう声すら思い出せない。人よりも劣っている感情だが、確かに愛しいと感じた。大好きだと感じた。この人の事だけは忘れまいと、そう誓ったんだ。なのに、なのにだ。もう思い出せない。顔も、声も、性格も、思い出も何も…、嗚呼、マスターは実に残酷だ。残酷でとっても卑怯だ。ワタシにこんなプログラムを残して消えていった。嗚呼、マスター。もう一度会いたいよ、どうか、どうか其の時、この複雑で理解し難いこの感情の名を教えておくれ…」